【手続き】国境を超えた猫・日→米は簡単! 日本入国は困難

【手続き】国境を超えた猫・日→米は簡単! 日本入国は困難

2004年の10月頃。玄関のドアを開けたら、風邪を引いて顔じゅう目やにだらけの子猫が、瀕死の状態で助けを求め、足をよじ登ってきた。病気丸出しでは誰にも拾ってもらえないだろうと、獣医につれて行った時にはもうグラハムと名付けてしまっていた。子猫を拾った経験談としては、雛形のような、猫の思う壺パターンだ。

醜い子猫はみるみる改善し、美しい猫になった。目やにに埋もれていた小さな目はくっきり大きな丸い目へと。栄養失調でお腹だけぽっこり出ていた体型はスラリとし、今では体重5kgを誇る立派な猫へと成長した。おかげで我が家には、1グラハム=5kgという単位ができた。あと1/2グラハム痩せたい、みたいに使う。

大きな体のわりに、子どもっぽく人懐っこい性格のグラハム。膝の上に飛び乗ってきては仕事の邪魔をする。膝の上で満足げに丸くなっている様子をみると、愛おしくてどかす気になれない。このこを守るために、仕事しよ、という気にさせてくれる。

好奇心が旺盛すぎて家を飛び出し、飼い主の元に戻れなくなってしまったのか。誰かが置いて行ったのか。真相を知る由もないが、とにかく我が家の一員になった。

夫は子どもの頃から動物アレルギーだったのだが、なぜかグラハムでは発症しない。奇跡の猫だと親戚一同驚いている。当然一緒に渡米した。長いフライトに耐えられるか心配だったものの、大事な家族を置いて行くわけには行かなかった。

ここからが手続きの話。

動物渡航の詳細は、このリンクから。

日本からアメリカへの猫持ち込みは、驚くほど簡単だった。検疫の出国条件は、相手国の入国条件をクリアしていれば良いというもの。事前に動物検疫局に連絡をとり、アプライシートをダウンロードして空欄を埋める。出国便名を記入し、手荷物のひとつと数えて機内持ち込みができる。ケージから出してはいけないなどの注意点は、出国時に言い渡される。

ここで怖いのは、相手国の条件が流動的な場合。大使館に電話をかけて、自分で確認してくださいというのが主流。つまり検疫官でも世界中の入国条件の現状は把握できておらず、「移住者の経験談によると……」「噂ではこうらしいですよ」「アメリカでも◯◯州は厳しいよう(曖昧)ですよ、それも2,3カ月前の話なので、今月はどうかわかりませんが」というレベル。時価のように変わる入国条件にびっくり。

圧倒的に低い狂犬病率(猫も含む)の日本からは、アメリカへの入国にほぼ問題はないらしい。しかし規制の厳しい日本に連れて帰ろうとすると最低でも以下の手順が必要。

1)マイクロチップの埋め込みが必須

2)血液検査を2度して、問題ないという証明書を提出(2回の検査を終えるのに最短でも1カ月はかかる)

3)アメリカの動物検疫で検査を受け、問題がなければ出国

検疫をクリアできなけば、人間だけ先に日本へ発つ。猫は検疫で保管されて、後から到着となる。入国の際には、日本での検疫で血液検査の結果が出るまで数週間〜数カ月拘留される可能性もある。猫の体調と検査結果次第なのでいつ出国・入国できるかは断言できない。

すぐに帰国する可能性があるなら、マイクロチップと血液検査をすぐにして置いた方がいいと勧められた。ただし日本の入国条件も変わるかもしれないから、搭乗の直前に確認のこと。

結論が、「うちの場合はこうでした」という話で申し訳ない。大使館なり検疫なりに、自分から情報を取りに行って、渡航準備を万端にしておきましょう。