私は女で一人っ子。兄弟の葛藤や、男ならではの父親との確執なんてもの、絶対に理解できない。理解できるはずもない部分に、心をゆさぶられた映画が、邦画の『ゆれる』(西川美和監督)。こんな映画には、中々であえないだろうと思っていたのに。ストーリーははまったく違うのだけど、この『ゆれる』を思い出すような洋画を観た。
『Warrior』は、父・兄・弟、家族・亡き母、おまけに忠誠心と正義、女からは理解しづらいテーマがてんこ盛りなのだ。感動した。観てよかった。すべては『純粋』が柱になっているおかげだからなんだろう。男女とか年齢とか関係なく、きっと誰もが同じように感じるんじゃないかな。
血筋とか、もはやどうでもいい。観客の想像力を、最大限まで引き出す、静かな演出も見所。ひとつも無駄がない、ささいな場面の運び。意味のない脇役もいない。ちょい役の、ひとことふたことが、社会の闇を映し出す。こんな調子だから、安心して観ていられる。作り手の思い通りに視点を操作されているのに、居心地が悪くない。むしろ心地いい。
本来はあらすじを書くべきなんだろうけど。私はストーリーを読んでいたら、観るのをやめていたかもしれないから、あえて書かない。YouTubeのトレーラーを観賞後に観た。んー、残念、平たい、安っぽい。本編と違う。やはり前情報なしで観てほしい。片手間に観たら、闘いばかりでつまらない映画だと感じちゃうかもしれないから、ぜひ集中してご鑑賞を。注文が多いね。
実はこの映画、撮影監督はMasanobu Takanayagi(高栁雅暢)さんという日本人。オスカーに最も近い日本人として、業界誌でもトップ10内に挙げられているらしい。彼のカメラワークの美しさを実感できるのが『The Gray』(2012)。これまた女性からは支持を得づらそうな男の世界が描かれている。極限。戦い。オオカミ。仲間割れ。友情。信頼。生死。この作品が気に入ったのと、もう一度あのカメラワークを観たくて、たどりついたのが『warrior』。
『warrior』はトレーラーを観るべきじゃないので、『TheGray』を貼ってみよう。好みじゃなかったらごめんなさいだけど、どちらの映画も、一見の価値あり。
※『The Gray』は、中学校からの友人が働くショーゲートさんで試写に参加させていただいたのでした。Mちゃん、ありがとう。すでに一児の母となったMちゃん、仕事に育児にと輝く素敵ママ。吹奏楽部時代が懐かしい。