『海賊と呼ばれた男』『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』
今年のベストセラー本の内容は、なんとも対局的な2冊でした。
文学的な本「アカ・アオ・シロ・クロ」v.s.ドキュメント本「ひとりの馘首もならん!」まだ読んでいないけれどこれから読みたい方にネタばれしないように、あらすじは控えます。ジャンルが違うので比べようがないけれど、2冊にはそれぞれ違った楽しさが。
今の日本に国岡鐵造のような人間がまだいるのでしょうか。ここに書かれた人物たちと同じ日本人であることが誇らしいと思える本が『海賊と呼ばれた男』です。戦後の日本を立て直したひとりである、出光左三をはじめ実在した人物を題材にした本。読んでいくと女性の私でも身が引き締まる思いがしました。そんな素敵な”行”(場面)が5ページめくるうちに1回は出てきます。内容とタイトルからは、一見がちがちに男性から好かれる本のようですが、女性ファンも多いとの声を聞き納得。こんな人が自分の身内だったら嬉しいから。男性には国柄を問わずぜひこうあってほしい! しかし社員こそが会社の宝だと考える鐵造のような考えは、枝ごと切り捨てる外資経営が主流の今は通用しないでしょうか。
一方、多崎つくるのような人物がいたら、ちょっとお尻を叩きたくなるような気がします。あれ? この話の結論は? という伏線(?)がいくつかあって、読み終わった人と読後感を言い合う楽しさがありました。私の周りでは、結局ほとんどのページが話題にのぼる感じだったので、それはすごいことだと思います。要所にでてくる曲について、音楽に詳しい友達曰く、”ある時代の雰囲気が香ってくるよう”だそうです。それがこの本を好きか嫌いかを大きく分ける要になるのかな。
『色彩〜』は1日で読めたけど、『海賊〜』は結構かかりました。でもどちらも読んで後悔なし!
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