『クリムゾンの迷宮』

『クリムゾンの迷宮』

「今日読み終わったからあげるよ!」と編集さんからいただいた貴志祐介さんの本。面白くて一気に読み終えました。

【あらすじ】

目が覚めるとそこは火星だった!? 集められた9人の男女たちには、どうやってそこへたどりついたのかという記憶がない。視界一面に広がる深紅色に染まった奇岩に囲まれ、自分たちの傍らに置かれたゲーム機には「火星の迷宮へようこそ。ゲームは開始された」というメッセージ。それは生き残りをかけたゼロサム・ゲームの始まりだった。誰と協力してどう生き延びるか、岩とジャングルに囲まれた謎の地で徐々に明らかになるこのゲームの目的とは?

久しぶりに読んだサスペンスファンタジーはハリウッド大作の映画のようでした。初めて読んだ貴志さんの本は『新世界より』というファンタジー小説。1000年後の日本という作り込まれた未来が舞台の小説で、読んでいる自分もその世界に連れて行かれたような読後感に感動。その時から思っていたこと、貴志さんはどうして見てきたようにファンタジーの世界を書けるんだろう?

今回読んだ『クリムゾンの迷宮』も火星かもしれない世界に自分も放り込まれたような気持ちになりました。サバイバルと謎が詰まった映画の脚本にもぴったりなストーリーだけど、映像化したらありきたりなものになってしまいそう。というのもこの物語には主人公・藤木が謎に気付いて行く伏線がいくつも張ってあります。主人公が感じた違和感を解いていくには文脈を追って読み進めるしかない。だから続きが知りたくて一気に読んだんだと思います。映像化されたらすべての伏線が視覚で捉えられるような”人の態度”や”罠”になると思うと、ストーリーを読み解く面白さよりも追う・追われるハンティングゲームとグールの存在に終始しそう。原作とは違った面白さになりそうですが。

サバイブ系の物語でよく思うこと。自分がこのメンバーの中に入ったら、目が悪い私はコンタクトレンズか眼鏡がなかったらウィーカーズリストナンバーワンだ。日焼け止めもない中ジャングルに放り出されたらどうしよう! 生死がかかってるのにそんなことを考える余裕はないと思うのですが。

(PHOTO FROM READING LADY)