Before Midnight
18年前に作られた初作の第三編ができた。
第一作目の邦題は『恋人たちのディスタンス』。原題の『Before Sunrise』でよかった気もするが、当時は日本語の方が受けたのかな? 欧州を走る列車の中で出会ったアメリカ人のジェシーとフランス人のセリーヌが途中下車して語りあい、街を歩き、最後は連絡先を交換せずに1年後の今日この駅で会おうと約束して映画が終わる。
第二作目は『Before Sunset』。この作品では前作のタイトル”夜明け前”から”夕暮れ”になった。ジェシーは彼女との思い出を本にしてベストセラー作家になる。フランスで行われたファンサービスの書店イベントにセリーヌは現れる。9年ぶりに再会できたふたりという設定は、現実の時間でも9年の時を経て作られた。ふたりの容姿の変化、思考の変化、前作を楽しんだ人は2作目も楽しめるはず。
実生活では当時ユマ・サーマンと結婚していたジェシー役のイーサン・ホーク、この映画をきかっけに離婚することになったそう。彼は役にのめり込むタイプだそうなので、共演者のジュリー・デュプリーと実際に恋に落ちたのではないかとの憶測も。この映画のせいでふたりの女優は今でも犬猿の仲だとか。
そして第三作目となるのがこの『Before Midnight』真夜中前。2作目からさらに9年の時がたち、ふたりの関係がどうなっているのか。今はなにをしているのか、まるでドキュメントのような物語が進む。舞台はギリシャ。さてふたりはなぜここにいるのか? これは観てからのお楽しみです。
偶然の出会いがこんなに人生を左右するんだと、客観的に観ることもできるし、彼らの心境にシンクロしても楽しめる。会話劇、経年が柱になっている実験的なようでいて、映画の良さを満喫できる素敵な作品。
本作が最終章ということになっているけれど、9年後の第四作目を観賞直後からもう期待しています。