Wien -art everywhere-
日本を出発したのは30℃の猛暑が続く8月後半。きっとこれよりちょっと寒いくらいだろうとすっかり甘くみていた欧州の夏。到着した地は日本の9月後半にかかるあたりの気候。これを欧州では夏と呼ぶ……。日本では秋といいます。よってまんまと風邪を引く。寒さしのぎのために買い物に行ったおかげで運命のレザージャケットに出会うことができたのでいいか。ひざをすりむいても骨を折らなくて良かったと思うようにと教育を受けているので悪いことが起きたときほど楽観的になる。
オーストリアではドイツ語と英語が通じます。どこを見ても芸術が溢れていて、その気になればいつでもなにかを観賞できる素敵な街。たとえば平日の夜に、美術館の広場をつかって朗読会が行われている。そこに立ち見がでるほど、こんなに人が集まっている。↓
ドイツ語なので内容は理解できず。まるで音楽ライブのような人だかりが朗読で起こるなんて、作者冥利につきるでしょうね。
素敵な歌声が聴こえると思ったら建物をスクリーンにしてオペラを上映している。集まった人はお酒を片手におしゃべりを楽しみながら観賞している。いつもこんなにアートだらけなのかは友人のオーストリア人に聞いてみよう。でもこの雰囲気はかなり気に入ったので街の印象は最高!
そして早速旅のハイライト、ウィーン大学の前で学生に間違えられる! これをハイライトと呼ばずしてなんと呼べばいいでしょう。学生にみられたことが(すごく)嬉しかったが、どうやらアメリカの大学と同じようにいろんな年齢層の人がいる様子。えー。
ウィーン大学は試験さえ受かれば学費は無料という素晴らしい制度をもつ。学生募集はオーストリア人に限定していないので、周辺諸国からの学生が増えて肝心のオーストリア人の入学率に影響を与えているとか。
各国から集まる受験生のせいで倍率があがるのは高い教育水準を目指せるからいいとして、オーストリア人の税金で無料の授業が運営されているのに外国人の教育をするのは長い目で見ると問題。じゃあ試験を難しくしたら世界でもトップレベルの秀才が集まる大学に成長するんじゃないの? 他国から留学する際には国から少しでも奨学金をだしてもらう制度を作ってもらえたら素晴らしい大学になるかも?
さて、アポテーケ(ドラッグストア)の風邪薬と点鼻薬と外耳炎薬にお世話になり、薬漬けでホテルで安静にしていた間に話題のドラマ『半沢直樹』を観賞。これは現代のサラリーマン時代劇ではないですか! 視聴率の高さに納得。
勧善懲悪だけど、時代劇の予定調和よりはこれからどうなるんだろうというスリル感があり、現代劇だから時代劇より共感できる。そして日本人は”使命に生きる美学”ということがしみ込んでいるんだなぁと再認識。これは飛行機内で観た邦画『藁の盾』でも感じたこと。美学がないよりはよっぽど良いと思います。今の世の中その美学を貫いている人は……いる? だからこのドラマが人気になったのでしょうか。
市内はレンタル自転車で自由に行き来できる。クレジットカードで自分のIDを登録して借りる形式のレンタルバイク。デポジットとして5ユーロ程とられるが、自転車を返せば戻ってくる。そして1時間以内に返却すれば無料! 戻す駐輪場は自分の行く先で見つければOK。1時間を越えたところから1ユーロずつ課金されるが、駐輪場は街のいたるところにあるのでほとんど無料自転車といってよし。これ、日本にもあったらいいのに。パリでも同じようなものがあった。観光客だけじゃなくて、地元の人も通勤に使っている。
世界遺産に登録されているシェーンブルン宮殿。広い! 広い広い広い! 植栽にハサミが入った直後に観賞できると、木で仕切られた道の葉がすべて真っ直ぐに切り込まれていて盛観だとか。少し葉が伸び始めていたけれど、これらが植えられたのは1700年代なの? どうなの? なんなの? かくれんぼとかしたんだろうか。
宮殿の一部は公務員に限定して賃貸居住スペースにもなっているとか。100ヘーベーのsLDKで日本円にすると家賃は4万7千円! 公務員になりたいと思ったのは生まれてこのかた初めてです。ドイツ語必須ですが。
庭園のカフェではクレープの生地をパンケーキと間違えて調理して、パウダーシュガーでなんとか形にしたのでは、という見た目スイーツが。意外や意外、帰国してからも作りたいと思う程の美味しさ! そしてこの想像はあながち間違いでもなく、王様おかかえパティシエが何か変わった物が食べたいとわがままを言われ、苦肉の策でできたのがこれ。
シュニッツェル(かつ)の本場でもあるオーストリア、どのレストランも最高に美味しかったです。ホテルも素敵だったし、また行きたい! いっそ住んでしまいたくなる土地でした。このあとは友人の結婚式に向います。